祝・20周年&3度目の武道館公演開催直前企画 Base Ball Bear 小出祐介 Interview part.1
Base Ball Bearが今夏開催した対バンツアー『Base Ball Bear TOUR「LIVE IN LIVE~I HUB YOU 3~」』の最終公演=8月26日のZepp Osaka BaysideでのASIAN KUNG-FU GENERATIONとの2マンライブリポートを現在発売中のTalking Rock!22年11月号に掲載! その記事の最後に記したように、後日小出君とオンラインで、その当日の感動と10月12日に配信リリースされた新曲「海になりたい part.3」についてと、11月10日に行われる3度目の日本武道館公演に向けての意気込みをお聞きし、リポートの後にコメント掲載するつもりでしたが、ガッツリと話し込んでロングインタビューになってしまい(苦笑)、ページが全然足りなくなったので、このホームページに2度に分けてアップします! まずはインタビューpart.1=アジカンとの2マンライブの感想について。必ず発売中の本誌最新号のライブリポートを読んだ上で(必ずですよ!)このインタビューを読んでくださいね!
インタビュー&文=吉川尚宏
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――まずはアジカンとの2マンライブについて。当日のMCで小出君が「みなさんが思っている以上に感慨深いんですよ」とおっしゃっていましたが、終えて今はどんな感触がありますか?
小出 本当に感慨深かったですね。でもこの感慨は、“アジカンもベボベもずっと聴いてました! その2組の対バンが遂に実現しました!”というお客さんの喜びと、ちょっと違うものかもしれないですよね。というのも、2000年代初頭に下北沢ギターロックブームというムーブメントがあって、そこから世に出て行ったバンドがたくさんいまして。アジカンはもちろん、今回残念ながら対バンが実現しなかったACIDMANもそうだし(同ツアーの初日=7月20日にKT Zepp Yokohamaで対バン予定がACIDMANのメンバーが新型コロナウイルスに感染されたことを受け、主催者判断で中止に)、フジファブリックやART-SCHOOLやレミオロメンやストレイテナーがメジャーに進んで。そんな頃に僕らは下北の新人として活動を始めたんですけど、僕らのようなド新人からするとアジカンはその時点で下北沢SHELTERを満杯にするバンドだったので、すでに雲の上の存在なわけですよ。
――なるほどね(笑)。その段階で超メジャークラスという印象だったわけだ?
小出 そうです。とっくにスターなんです。それで、今名前を挙げたバンドたちが全国区になってから、下北のギターロックムーブメントが下火になって冬の時代を迎え始めるんですよ。その影響を、ブームの最後尾で活動していた僕らがもろに食らっちゃって(苦笑)。“あの熱はどこに行ったの?”というぐらいに冷え込んでいったんですよね。その中で僕らはどうにかもがいて、数年してメジャーデビューまでこぎ着けることができた。アジカンの喜多(建介)さんや伊地知(潔)さんが「わりと近い時期から下北にいたよね?」と半ば同志的な感じで言ってくれたりしたんですけど、僕らからしたら「いやいや、全然違うんですよ」と(苦笑)。「そのときの僕らはそんなレベルじゃないんです!」という感じで。そこからずっとバンドを続けてきて、今も残っているという意味で同志的に思っていただけているのであれば、それはものすごくうれしいことなんですけど。実際のところは背中を追いかけていたという憧れの存在でしたし、下北から全国区のロックバンドになっていく現象も遠くからですけど見させていただいて、一つの目標にさせていただいたバンドだったので。
――確かに普段からアジカンとベボベがわかりやすく交流していたらお客さんの見え方もまた少し違ったんでしょうけど、今話してくれた距離感は本当に当事者じゃないとわからないですよね。
小出 きっとわからないと思います。自分たちの原点である、下北のライブハウスシーンの歴史にも繋がるような話でもあるので。そういうのもひっくるめて感慨深かったですね。
――そういう中で、03年に新宿ロフトで初めてイベントで共演した際に、小出君がアジカンのメンバーに手渡した自主制作盤のことをゴッチ(後藤正文)がちゃんと覚えてくれていたというのはとても光栄な話だよね!
小出 そう! しかもそれを今も持ってくれているってすごい話ですよね! あのMCで僕も初めて知ったので、ものすごくうれしかったですね。
――そして念願が叶った今回の2マンでのアジカンのセットリストも素晴らしかったよね!
小出 ね! しっかりとした王道のセットリストで。後藤君曰く「小出君のMCを引用するなら“冷やし中華”のセットリストをこの夏のフェスでやってきてたから、今日はきっちり“ハンバーグ”で」と(笑)。
――なるほど(笑)。序盤に「Re:Re:」「リライト」「ソラニン」という代表曲を披露して、最新アルバムから「You To You」と「触れたい 確かめたい」を、そして最新シングルの「出町柳パラレルユニバース」を挟んだ後に「荒野を歩け」を経て最後に代表曲の「君という花」で締めるというこの展開!
小出 イベントでの理想的なセットリストですよね。押さえておくべきものはきっちりと押さえておいて、かつ新曲もやるという。僕らもそうで、ときにはイベントで“冷やし中華”ばかりをやりたくなる日もあるんですよ(笑)。その感覚もすごくよくわかるし。あるいは同じ“ハンバーグ”でも“デミグラスソース”じゃなくて今日は“おろしハンバーグ”がいいなとか(笑)。
――ハハハ(笑)。ありますよね(笑)。
小出 あるいは“チーズハンバーグ”とかね。そうやっていろいろとソースを変える日もあるわけで。そういう中で今回の2マンでは“これぞアジカン!”なステージを見せてくれて。
――うんうん。しかも小出君とゴッチのMCがいずれも2バンドが出会った頃のエピソードと当時の下北の音楽シーンに触れる話が多くあったので、なおさら初期の代表曲を交えたアジカンのセットリストに深い意味と特別な表情を感じて、それはベボベのセットリストもそうで、すごく新鮮で感動しましたね!
小出 ライブを終えた後にSNSとかで“今日のセトリはこうでしたー”と紹介したとしても、それだけではきっと伝わらないあの日の夜の空気感というか、セットリストの文字面以上のお互いのムードとモードが溶け合ったイベントだったと思うから、そういうステージがやれたことが本当によかったです。
――しかも、なんと言っても最大のハイライトはアンコールでベボベの3人にアジカンの喜多君が加わって4ピースで披露した「ループ&ループ」でしょ!
小出 あれはMCでも言った通り喜多さんの参加が本当に2日前に決まったんですよね。エンジニアの中村さん(中村研一氏。2バンドのレコーディングを担当)がアジカンサイドに話をしてくれて。
――アンコールで「ループ&ループ」をカバーすること自体は先に決めていたと?
小出 そうです。3ピースアレンジにして……アレンジといっても主に僕のパートなんですけど(笑)、喜多さんと後藤君のフレーズを混ぜたものを考えて、リハして。結構ちゃんと3ピースっぽくなってたと思うんですけどね。
――それはそれで聴いてみたかったですね(笑)。
小出 で、そこから急遽ありがたいことに喜多さんが参加してくれることになったので、僕のパートを原曲の後藤君パートに準拠して。そして当日を迎えて、その瞬間はもううれしさと興奮が入り混じって最高の気分で楽しく演奏ができたんですけど、そのときの音源を後日聴いてみたら、ステージで鳴らしている瞬間は興奮していたのもあってあんまりわからなかったんですけど、僕らと演奏している喜多さんのギターがほんとに“アジカン!”という感じなんですよ! まあ当然なんですけど(笑)。
――まあね(笑)。
小出 でもそれがすごく印象に残ったというか、喜多さんのおかげでアジカンっぽくなってる。喜多さんのギターが“アジカン感”を強く生み出しているんじゃないかなと感じて。ライブの約一週間後に僕らの新曲の歌録りがあって、そこで中村さんと会ったときにこの話をしたんですよ。そしたら本当にそうみたいで、他のメンバーのみなさんは機材が変わっても、喜多さんだけは基本のシステムが昔からずっと変わってないらしいんですね。アンプがボグナーで、メインのギターがレスポールというのが。
――うんうん。確かに喜多君がレスポール以外を弾いているところは見たことがないですね。きっとそのシステムが好きなんだろうね。
小出 喜多さんがアジカンのシグネチャーというか、もちろんメンバー全員でアジカンの音楽を生み出しているわけですけど、その中でも喜多さんのあの音色が“アジカン感”を強く醸し出しているという。それを身をもって体験させていただきました。
――それはね、昔アジカンのインタビューで他の3人のメンバーが同じことを言ってたんですよね。“アジカン=喜多君”なんだよねと。彼のギターがアジカンの代名詞というか、“アジカン=建ちゃん(喜多)のギター”と言ってもいいと思うみたいなことを、確かゴッチも言ってたことがあって。
小出 へー、そうなんだ!
――だから制作では建ちゃんのアイデア待ちという場面もあるみたいなんだけど、それがハマらないとアジカンにはならないと。最終的な決め手は建ちゃんのギターなんだよねと言ってた記憶がありますね。
小出 なるほど!
――その感覚を喜多君と一緒にプレイして、小出君がリアルに感じたということだよね。
小出 本当にそう思いましたね。バンドの印象がリードギターによって演出されているというのがものすごく興味深く思いましたし。しかも今の話を聞いてアジカンのみなさんもそれを自覚されているというのも良い話だなと。
――自分たちの強みをしっかりと理解しているというかね。それに建ちゃんはアジカンのリーダーでもありますからね! まあでも今の話はこちらもすごく興味深く感じましたし、僕も両バンドを長く取材してきましたが、アンコールでのレアセッションも含め、2マンライブ自体の素晴らしさはもちろん、MCで初めて知るエピソードもたくさんあって、観ていてこちらも最高に楽しかったですね! そんなアジカンとの夜を含め、この対バンツアーの企画は3回目だったわけですが、過去2回ともまた違った手応えが確実にあったのでは?
小出 ありましたね。ACIDMANとのライブが中止になったのが残念でしたけどね。
――そうか! ACIDMANが実現していたら下北ギターロックシーンの思い出との繋がりがさらに増していたわけだ!
小出 そうなんですよ。まさにACIDMAN始まりのアジカン終わりという形は僕らからしたらめちゃめちゃエモい展開だったんですよね。ACIDMANは僕らと同じ下北沢GARAGE出身のバンドなので。だから中止になっちゃったのが本当に惜しまれますけど、いつかまたご一緒させてもらえたらと思います。今回の「LIVE IN LIVE~I HUB YOU 3~」は自分たちの原点との邂逅でもありつつ、ほとんど接点のなかったCreepy Nuts(8月1日 Zepp Nagoya)とフレデリック(8月24日 Zepp Fukuoka)にも刺激をもらったし、仲良くなるきっかけにもなったしで、ほんとに実りある対バンツアーでした。
【part:2は10月31日(月) 17時に公開予定!!】
photo by toya
Base Ball Bear release
New Digital Single《2022.10.12》
「海になりたい part.3」
https://baseballbear.lnk.to/umininaritai3
New Single《2022.11.10》
「海になりたい part.3」(日本武道館会場限定盤)
NCS-3014 / \1,000(税込)
20th Anniversary 「(This Is The)Base Ball Bear part.3」
11月10日(木) 日本武道館
開場 18:00/開演 19:00
料金 7,700円(税込)
●e+ https://eplus.jp/bbb/
●ローソンチケットhttps://l-tike.com/
●チケットぴあ https://t.pia.jp/
お問い合わせ ディスクガレージ / 050-5533-0888(平日12:00~15:00)